※本記事は英語でもご覧頂けます:Coronavirus Pandemic Turbocharges Shift to the Digital Economy
経済のデジタル化は新しいトレンドではなく、過去5年間、デジタルおよび自動化ソリューションへの投資は活発に行われてきた。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、この傾向は一気に加速した。オペレーションにおける制限やサプライチェーンの混乱が発生したことで、企業は新たな解決策を見出さなくてはならず、また、デジタルツールや自動化ソリューションへの大きな投資を余儀なくされた。
また、パンデミックがもたらしたインターネット利用者の増加や、消費者習慣の変化も、デジタル化への取り組みを後押しした。各国政府が、eラーニングやスマートシティソリューションに投資する一方、消費者の購買習慣の変化は、Eコマースの成長をさらに加速させた。こうした要素が、経済の急速なデジタル化を促進させている。
経済のデジタルトランスフォーメーションを促進する要素
Source: Euromonitor International
企業の自動化とEコマースツールへの投資が加速する
生産の自動化は、デジタルソリューションへの投資を促進する重要なトレンドのひとつであり、多くの企業が取り組んでいる。 ユーロモニターインターナショナルが2021年4月に実施した『ボイス・オブ・ザ・インダストリー:COVID-19サーベイ』調査によると、世界の企業の30%が、向こう5年間で自動化ツールへの支出を増やすことを計画しており、この傾向は製造業でより顕著に表れている。
中でも電子機器メーカーの動きは活発で、約40%の企業が自動化ツールへの投資を計画している。例えば、Bosch(ボッシュ)は、2021年にドレスデンに新設された半導体工場におけるシリコンウェハーの生産を完全自動化する予定だ。
また、アパレル、自動車、食品加工といった業界も今後、自動化装置サプライヤーに成長機会をもたらすものと見られている。製造オートメーション業界は2020年に低迷を経験したものの、そこから回復した後は安定した成長を維持し、2025年には生産額が実質値で1,600億米ドルに達すると予測されている。
産業ごとにみる生産自動化ツールへの投資を検討している企業の割合 2021年
Source: Euromonitor International Voice of the Industry Survey: COVID-19 Survey, April 2021
B2B領域におけるEコマースは、デジタルビジネスツールへの投資を促進するもうひとつのトレンドである。B2B Eコマースは、パンデミックをきっかけに成長が加速し、今後10年間も速いペースで成長が続くと予測されている。
先述の『ボイス・オブ・ザ・インダストリー』サーベイ調査によると、世界の企業の35%の企業がEコマースソリューションへの投資拡大を計画しており、B2B Eコマースは2020年から2025年にかけて34%の実質成長を遂げ、その規模は2兆9,000億米ドルに達すると予測されている。企業はEコマースへ投資することで、消費者嗜好の変化への対応や販売チャネルの多様化、ひいてはより多くの消費者へのアプローチすることが可能になる。
また、拡大するB2B Eコマース市場は、決済や注文管理に関するソリューションや、ネット販売プラットフォームを提供するテクノロジー企業に、成長の機会をもたらすことが期待されている。
産業ごとにみるB2B Eコマースの売上 2020年~2025年
Source: Euromonitor International from national statistics, Eurostat, OECD
消費者のライフスタイルの変化がもたらすデジタル学習とスマートシティソリューションへの需要
パンデミックによって教育を含む消費者のライフスタイルが変化したことが、デジタル学習の人気を促進している。ユーロモニターが実施した『ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ライフスタイルサーベイ』調査(2021年)によると、15歳から44歳までの回答者のうち、約40%がデジタル学習に、約30%が学習用テクノロジーにお金を使う予定であると答えるなど、デジタル学習ソリューションへの支出を増やすことを計画している。
また、60歳以上の回答者の間でも関心の高まりが見られ、約15%がデジタル学習への支出を計画している。総じて、成人学習は最も有望なセグメントのひとつになると予測されており、主要10か国の成人教育市場だけでも、2025年には実質値で7,420億米ドル近くまで成長すると見込まれている。
成人学習市場 主要10か国 2025年
Source: Euromonitor International from national statistics
パンデミックは、消費者のライフスタイルにも影響を与えると考えられている。人口密度の高いメガシティの人気が低下する一方で、都市化はさらに加速し、2030年には世界の50億人以上が都市部に住むようになると予想されている。
アフリカ、アジア太平洋地域、オーストラレーシアがこの都市化の進行を牽引すると予想されており、主には小規模都市の拡大によるものと見られている。都市化の拡大に伴い、消費者が環境に配慮したサステナブルな都市を求めるようになることから、スマートシティ技術への投資が促進されると考えられる。また、郊外化が進むことで、交通問題に対応するための新しいソリューションが必要になるだろう。
地域別 都市部における人口成長 2020年~2030年
Source: Euromonitor International from national statistics, UN, World Bank
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(翻訳:横山雅子)